「デンタルモニタリング」は、歯科治療の分野で今注目されている最新技術です。
スマートフォンを使って自宅からでも歯科医と連携し、治療の進捗をリアルタイムで確認できるシステムで、特に矯正治療中の患者にとって大きなメリットがあります。この記事では、デンタルモニタリングの仕組みやその利便性、治療に与える影響について詳しく紹介します。
目次
デンタルモニタリングは、患者自身が専用のツール(ScanBoxPro)とスマートフォンのアプリを使って定期的に口内の写真を撮影し、矯正治療が順調に進んでいるかをAIとドクターが遠隔でチェックするシステムです。フランスの医療IT企業が開発し提供しているサービスで、日本でも導入する歯科医院が増えてきています。
インビザライン治療は、通常1.5〜2か月ごとに通院し、治療計画通りに歯が動いているか、歯とアライナー(マウスピース)の適合状態はどうか、などの診察を行います。予定通りに歯が動いていない場合や、アライナーがフィットしていない場合は、ドクターの判断で装置を作り直す必要があり、治療期間が長くなります。
デンタルモニタリングを使用した場合、週1回、患者が口内を撮影することで、ドクターによるアライナーの適合状態・虫歯・歯の変色の確認などが毎週行われることになります。
適合状態の確認に関しては、次のアライナーに進めるか、同じアライナーを継続して使用して適合状態を良好にするかについての判定を行います。
歯の変色の確認に関しては、歯の移動により歯髄(一般に歯の神経と言われている歯の中心部の組織)にダメージを受けると初期の段階で歯がピンク色に変色することがあり、そのまま放置すると歯髄が壊死してしまうことがあるので、安静にするためにアライナーの交換を行わないように判定します。
これまで、2ヶ月前後に一度だった歯とアライナーの適合状態の確認が、通院することなく毎週行われることにより、早期に歯と装置の不適合を判断できるようになるため、効率的に治療を進められるようになり、治療期間の短縮につながります。
アプリを起動し、ScanBoxProを取り付けたスマートフォンで口内を撮影する
撮影データがフランスのデンタルモニタリング社に送られる
口内写真データをもとにデンタルモニタリング社のAIによって、
・装置が壊れていないか?
・アライナーがフィットしているか?
・虫歯がないか?
・歯に変色がないか?
・歯ぐきの腫れや歯磨きの状態は良好か?
などを自動でチェックされる
デンタルモニタリング社のAI診断の結果レポートが、担当医と患者に送られる
担当医が、このまま治療を進めるか、来院しての対応が必要な状態かを判断する
遠隔モニタリングにより問題がなければ来院間隔を延ばすことができ、場合によっては3~4か月に1度の通院に抑えられる可能性があります。自宅からスマートフォンを使って治療の進捗を確認できるため、忙しい生活を送る人や遠方に住んでいる人にとって大きなメリットです。
遠隔で管理できる部分が増えれば、アライナーの不適合などの問題点に対し、早期に対応することが可能になります。また、チャットでドクターあるいはスタッフと随時連絡が取れるため、コミュニケーションもより密接となり、確実な治療を効率的に進めることができるようになります。
インビザラインは、1枚あたり0.25mm以下ずつ歯を動かしていく治療で、どのように歯並びが整っていっているか、患者自身では治療の進行状況を把握しにくい点があります。
デンタルモニタリングには、患者が撮影した写真をもとに、治療のモーフィングムービーを作成する機能があり歯並びの変化を実際に確認することができます。治療のモチベーションアップに役立つ機能です。
歯科医師が治療状況を常に確認できるため、問題が発生した場合にもすぐに対処できます。
デンタルモニタリングは便利で革新的なシステムですが、使用する際にはいくつかの注意点があります。以下に、デンタルモニタリングを利用する際に気をつけるべきポイントをまとめました。
スキャンの際、正確な画像を撮影することが重要です。スキャンが不十分だと、正確な治療の進捗が確認できず、診断に誤差が生じる可能性があります。歯科医師の指示に従って、口腔内を適切な角度や明るさで撮影することを心がけましょう。
デンタルモニタリングは、定期的に歯並びの状況を確認することで効果を発揮します。スケジュールされたスキャンを忘れずに行うことが、治療の成功に繋がります。通知機能やカレンダーにスケジュールを設定して、定期的なチェックを忘れないようにしましょう。
デンタルモニタリングのアプリは、正しく使用しないとデータが正確に伝わらないことがあります。初めて使用する際は、アプリの使い方をしっかり学び、わからない点があれば歯科医師に相談するようにしましょう。
デンタルモニタリングは、遠隔での治療進行をサポートしますが、アライナーの装着中に痛みや違和感が強い場合は、すぐに歯科医師に報告し、指示を仰ぐことが大切です。モニタリングシステムに頼りすぎず、異常を感じた際には適切な対応を取る必要があります。
デンタルモニタリングは通院回数を減らせるメリットがありますが、全く通院しないわけではありません。歯科医師の指示に従い、必要なタイミングでの対面診察や治療も怠らないようにしましょう。直接確認することでしか気づけない問題もあるため、デジタルと対面のバランスが重要です。
これらの注意点を守りながら、デンタルモニタリングを効果的に活用することで、効率的かつ安全に歯科治療を進めることができます。
正確な治療計画が立てられていても装置の装着状況により、治療期間が長引くことがあります。
デンタルモニタリングを活用することにより、早期発見・早期対応することが可能となり、結果的に治療期間を最短にすることができます。
デンタルモニタリングは、より確実で効率的なインビザライン治療のために有効なシステムで、今後さらに導入する歯科医院が増えていくでしょう。
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デンタルモニタリング・ジャパン株式会社
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